都市の食文化はどのようにして生まれるのでしょう? 日本の各地を故郷として多摩に住まう人々の「食」を巡る今とは。。。
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| 食を楽しむ場面のあれこれ
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森川●郊外都市に住む私達ですが、地域のつながりを、例えば食を通じてみると、それぞれに郷土色豊かな背景を持っている人が集う場面が結構面白いんです。
立山●多摩ニュータウンには、居酒屋的文化がどのように育つのか興味がありますね。たくさんの種類のお酒や、家庭料理的な要素を持ったメニュー、郷土料理等を楽しめるのが居酒屋ですが、居酒屋はその店のおかみやあるじ、そこに集う仲間と触れあう場だと思うからです。
森川●ニュータウンには大資本を背景にしたチェーン店が多いですが、最近は家族(子供)連れでも居酒屋を訪れて外食を楽しむ光景も多いようです。
外食だけでなく、食を楽しむ場面には美味しいものが登場しますよね。例えばご近所で集まると、「奥さんの田舎で捕れた烏賊の一夜干し」「出張のお土産の地酒」「故郷の珍味」「その地方でしか売っていない調味料」など様々な持参品があって、その入手方法さえも酒の肴に話が盛り上がるんです。
立山●同じようなものは、津々浦々にあるんですよ。でも、地方や季節によって塩加減が異なったりする。その土地を訪れて、そこでしか味わえない良いものに出会えたときは、本当に感動しますよ。
例えば鹿児島の奄美の島の人たちは、全国の地方都市と比べて、夜が更けても、男女を問わず年配の人が元気良く飲んでいるんです。中には昼寝ではなく、「夕寝」をして繰り出す人もいる。海で捕れた貝等を肴に、島唄を歌い、島の焼酎を飲むために居酒屋に出かけてきます。良い酒と良い文化は、共存すると思いますね。
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| 食はどのように流通している?
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森川●人の舌も、季節や気候によって味わいが変わってきますよね。ところが、都市では、画一的な味に慣らされ過ぎているような気もします。
立山●食材が大きな流通ルートに乗ることで、味が画一化してしまうんです。便利さや手軽さを求めると、どうしてもそこにいってしまう。昨年から今年2月まで、薩摩焼酎にこだわって鹿児島の蔵元を歩きましたが、良い焼酎のある地方には、とれたての魚介や野菜を使ったうまい料理があるんです。これは、東京では味わえない。形は似ていても、味わいや香り、歯ごたえが違う。何より価格が違って、東京は高い!
森川●故郷の特産物の手みやげ、というのが個人間の流通ですね。先月号で特集した新感覚の地域のおすそ分けシステムは、住民達が主体となって食材や家庭料理を地域で流通させられないかという試みです。これをきっかけとして地域のコミュニケーションの拡がりや、コミュニティ・ビジネスの芽につながるのではないかと考えています。
立山●それは面白いですね。ここ20年間、流行っている居酒屋の傾向のひとつは、大皿料理を出すところです。和食の「おばんざい」というのがうけていますね。家庭では家庭料理が味わえなくなっているのでしょうか?
森川●昨年の暮れ、地域の会合にデリバリーする家庭料理を仲間に募ったところ、けっこうお父さん達が腕を振るってくれました。「最近、家で油モノを控えていたので、久しぶりにコロッケを作ってみたい」とか、具だくさんの豚汁などを楽しんで作ってくれましたが、お母さんたちは、毎日作っている家庭料理でお金をいただくなんて、という抵抗感もまだまだあるようで。。。でも、子育て中の母親や高齢者を地域でサポートするシステムとして、私自身活用できるようにしていきたいと考えています。食を通じて、顔の見える人と人とのつながりが広がればいいなと思います。
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| 融合から生まれる食文化の可能性
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立山●変化の激しい時代の中で、失われていく文化もありますが、居酒屋の経営にしても、自分なりのこだわりを持っていない人は成功しないようです。わたしは、居酒屋は個人の経営者が食文化を担っていくと思っています。そこには個人の思いつきの良さを生かした商品開発の強みもあります。
焼酎を取材する中で、こんな事がありました。麦焼酎の麦、米焼酎の米は穀類です。ところが芋焼酎の芋は根菜、つまり野菜なのです。それで、米麹も使わない芋100%である芋焼酎と、100%の野菜ジュースでカクテルを作れないかと考えたんです。ただ混ぜただけではそんなに旨いものではありませんでした。
そこで、帝国ホテルのバーのチーフバーテンダーの経歴を持つ方に相談してみたところ、素晴らしい2つのカクテルを考案してくれました。ひとつは、芋焼酎にカゴメのオールベジという100%の野菜ジュース、それにジンジャエールを加えることで、それは美味しいカクテルになったのです。そしてもうひとつは、芋焼酎にやはりオールベジ、そこに牛乳と練乳を加えるのです。こちらはほんのりピンク色のカクテルに。この意外な組み合わせは、経験を積んだ熟練のバーテンダーだからこそ生み出せたものでしょうね。しかも、これは家庭でも簡単に作ることが出来るんですよ。
森川●それはぜひ、試してみたいですね。
さて、人がそこに居ることで出会えるものがあるとしたら、多摩の人々が暮らしの中で融合することで、新しい食文化が見えてくる気がします。ストレートに心が伝わるのが「食」。美味しいものを味わうことで幸せを感じない人はいないでしょうから。
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