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| 桐箪笥・桐工芸品 菱木康雄(60) 調布市 |
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| 明治中期から続く桐箪笥職人の三代目。祖父は四ッ谷で「菱木箪笥店」を営んでいた。太平洋戦争で店が焼け調布へと移る。菱木さんは父親から技術を受け継ぎ、現在は桐箪笥の他、桐を使った室内装飾や家具などにその技術を生かす。「桐箪笥を作れる職人はいまや東京に10人足らず。多摩では私だけでしょうね」と菱木さん。 和装が消え生活様式が洋式に変わるなかで、昭和40年代あたりから桐箪笥の需要はどんどん少なくなっていった。そんななかで、高校を終えて進路を決める時、菱木さんは有機化学の分野に進みたいと考えた。「しかし、大学の合格通知が来た時に父が荒れてね、後継者はオレを最後にいないかもしれない。それでもいいか」と。以来、職人の道一筋。子どもの頃から職人の仕事を近くで見ていた。中学生の時には下駄箱や吊戸棚を作っていたくらいだが、仕事に入ると父は厳しかった。一度教えたことは二度とは教えない。しかも薄紙一枚の誤差も許されない。一度聞いた寸法は二度と聞けないので、家にある箪笥の寸法をこっそり計って確かめることもあった。 やわらかな桐を扱う道具の使い方に始まり、細工物の技術を習得するまで一人前になるのに10年といわれる。「職人はおまえも一人前になったなんて口では言わない。そっと道具を譲ってくれる。だから祖父や父、先輩から受け継いだ道具は私の誇り」。仕事場には職人の汗と熱気がしみ込んだかのような桐専用ののこぎり、かんな、のみなどの道具類が一面に整然と並ぶ。ここから北は北海道から南は奄美大島まで菱木さんの総桐箪笥が巣立っていった。 「桐箪笥は高いといわれるが、たとえ100万円だったとしても100年もてば1年に1万円。決して高くはないと思う。いい物を長い間使ってもらうことが職人の喜び」。桐箪笥職人の技術を絶やさないためにも桐工芸にも熱心に取り組んできた。飾り棚、はめ込み式の家具から仏壇、欄間の彫刻まで。それも随所に菱木さんならではの工夫がある。たとえば仏壇には線香の煙を抜くための小さな穴を開け、外側から見えないように細工を施す。深大寺南町の絵堂の凝った飾り窓も菱木さんの作品だ。 夢は「伝統技術に自分のアイディアを生かし、今の時代にマッチするような新しい桐の洋箪笥を確立すること」。職人の心意気が感じられる仕事ぶり、早く、菱木オリジナルの桐の洋箪笥を見たいものだ。 菱木木工所 調布市西つつじヶ丘2-17-2 TEL:03-3300-3459 (取材担当・多摩新聞社)
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