|
|
| 伊勢型紙彫刻・型師 南部俊彦さん(67歳) 西東京市 写真:着物の柄を彫る、南部さん |
|
| |
|
| 千年以上の歴史を持つ伊勢型紙彫刻とは、柿の渋液を塗った和紙に花鳥風月、縞模様、風景画などの絵図面を乗せ、職人の手で透かし彫りを施してゆくもの。小紋・友禅・更紗などの着物や帯の型染めに使用し、型紙の出来が柄を左右するともいわれる。一反の着物を作るには生地幅40センチの型紙が最低15枚必要、しかも1色ごとに1枚、60色の振り袖は全部で900枚の型紙が必要となる。どの型も失敗は許されない。型彫りは高度な技術と根気を要する微妙な手仕事。 南部俊彦さんは東京で数少ない型師のひとり、伊勢・白子出身の父を世襲した二代目。幼少時代生まれ育った新宿区落合の神田川周辺では、染め物屋が軒を並べ、当時は川で反物の染料を洗っている風景も見られたという。戦争をきっかけに田無に移りこの地で伝統工芸を続けている。物心ついた頃から興味をもって小刀を握りはじめ、高校卒業と同時に二代目として本格的修業に入った。 朴の木で作られたアテバという机に向かいこの道一筋50年、引き彫りを専門とするが、錐彫りや道具彫り、突き彫り等一通りこなす。南部さんの手にかかると和紙の上に筆で描いたかのような精巧な模様がみるみる浮かび上がる。その技術を生かして染色道具としてだけではなく、頼まれれば北斎・歌麿など浮世絵の型紙彫刻も手掛ける。 発祥の地・伊勢でも現在職人は100人弱、後継者もいなくなり年々高齢化が進んでいる。さらに最近ではどんな微細なものも彫る必要もなく、簡単に作れる科学紙を使った写真型製版という機械での製作が普及され、若者の職人離れを助長している。 「確かにコンピュータで大量に作る事は簡単だが、機械では表現できない味や色気をもった手技の型紙を愛してくれる人はまだまだ沢山いる。和紙は生き物で天気・湿度に敏感だが、呼吸する和紙と向き合ってこそ息吹の吹き込まれた型紙に仕上がるのではと思う」。 自分の仕事は染めの一工程であくまでも影の仕事という南部さん、見えない部分だからこそきちんとした仕事をと誇りをもって取り組んでいる。 伊勢型紙彫刻は昭和27年に無形文化財に指定された。細くても永く伝えてゆきたい日本の美しい伝統工芸として、匠の技を受け継ぐ後継者の出現が望まれる。 西東京市田無町6-11-14 TEL:0424-61-2609 (取材担当・月刊くろすとーく。。)
|
|
| バックナンバー 竹細工 桐箪笥 伊勢型紙 傘職人 ピアノドクター アンティーク時計修理 |